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鈑金・塗装の豆知識

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自動車の鈑金塗装って何だろう?

おクルマの運転をしていると、「塀にこすってしまった!」など、生活の中でキズをつけてしまったり、事故によってボディをヘコませてしまうことが残念ながら一生に何度か起こる可能性はあります。そんな時、クルマの修復を行うのが、鈑金塗装工場です。車はキレイになって帰ってくるけれど、では、鈑金塗装で実際、どんな作業が行われているんだろう?そんな疑問を持ったことはないでしょうか。ここで少し鈑金塗装について話してみようと思います。

車の修復には、損傷してしまった箇所を部品交換するだけで済むものもあれば、車の骨格を修正したり、ボディのへこみ一つひとつを鈑金塗装作業するなどさまざまなものがあります。また、修理する際の費用については自動車保険を使うか自費で修理するかなどの選択肢もありますが今回は割愛します。ここでは、鈑金塗装の主な工程について解説していきます!

鈑金工程豆知識

●鈑金塗装とは

クルマを修復する場合、おもに【脱着】【鈑金】【下地】【塗装】【磨き】【組付け】の6工程に分かれて作業が進みます。【鈑金作業】とは、車のボディの変形した部分を元の形状に戻すための一連の作業のことをいい、クルマの塗装をはがしたり、パーツの交換・組付けたりも鈑金作業の一環となります。【塗装作業】では、鈑金作業で修復された部分に色をきれいに塗装するため、パテなどで下地を整えます。その後、塗料の調色、塗装、表面の凹凸やごみを取り除く仕上げ磨きまでを行い、クルマを元の状態へ修復します。特に、鈑金作業は非常に高度な技術力や経験が必要となります。これは、クルマの点検・整備などは、設計図にそって決められた部品を交換する作業であるのに対して、鈑金作業は、クルマの損傷に全く同じものが存在しないため、クルマの状態に応じて対応が必要になります。また鈑金塗装の作業はすべてが手作業であり、修理の内容によっては費用が高額となる場合もあります。

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まずは見積もりです。

車のボディは大きく分けると以下のような部分に分かれています。

  • 【外装部品】
    前後バンパーやヘッドライトやテールランプユニット等(人間でいうなら洋服でしょうか)
  • 【外板パネル】
    ボンネットやトランクやドアやフェンダー等(人間でいう皮膚や筋肉かな)
  • 【内板骨格】
    読んで字のごとく中の骨格の事です。(人間でいう骨ですね)

そのことを踏まえながらフロントマンが修理箇所を鈑金見積もり専用のソフトを使い、ダメージの大きさ、鈑金箇所、要交換の部品、塗装が必要な範囲等を見ながら、おおよその修理金額を算出します。今は優れた鈑金見積もりのソフトがあり、とても早く正確に見積もりできますが、一昔前までは全部手書きで作っていたので見積もりはとても大変でした。少し話は逸れますが、現在は車の構造が進化したことで修理見積もりがとても高額になってしまう傾向にあります。新車や新しい年式の車(特に軽自動車の進化は目を見張る程です)をいざという時のため、車両保険への加入は是非ご検討ください。

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次に鈑金作業です。

次は鈑金作業がし易い様に修理箇所の範囲内の要交換のパーツや外装部品を外していきます。外板パネルを鈑金しやすいようにするためです。そして凹んだり歪んだり傷ついた外板パネルを鈑金作業担当のスタッフが、ハンマーやドリー(当て金)や鈑金専用の機具を使いながら「叩く」「引く」「伸ばす」等の作業を繰り返しながらなるべく元の形に近づけていきます。あらかた元の形に戻ったところで残りの部分はパテ(乾く金属のように固くなる粘土みたいなものです)を使って形成していきます。出来るだけパテで仕上げる範囲は少ないほうがよいので鈑金士の腕が試されます!金属の性質上一度伸びてしまったものは元の形に戻ることはありません。鈑金作業とは可能な限り元の形に近づけるという作業だと言えます。 上記の作業で出来るのはあくまで修復できる凹みや傷だけでダメージが大きく鈑金作業で元の形に戻すことが不可能なほどの凹みや歪み、傷であれば交換になります。鈑金士の一連の鈑金作業の工賃と部品代を比べると交換の方が安くつくこともありますので。
現在、車の外板パネルはいろいろな材質が使われます。もちろん鉄が一番多いです。しかし鉄にも色々種類があり大げさに言うと鈑金出来ない鉄もあります。高級車に多いのがアルミニウム。(外車に多い気がします)軽自動車にはプラスチックの使用も多くなってきています。部品の材質の変化により鈑金が出来ず、見た目は大したこと無いのに要交換になることが多くなっています。そのことから見た目の割に修理代が高額になるケースが増えてきています。

鈑金工程豆知識

●外側のへこみの修復

クルマの外側は、ほとんどの車種で金属(鋼板)が使われていて、へこんだ箇所をハンマーやドリー(あて盤)を使って、外板パネルを表から引っ張る、あるいは裏から叩くなどして、ボディの形を整えます。ある程度、車の外装のラインを修復し、パテを盛って成形します。鈑金工程では、元の形に戻すことを目的としていますが、実際には鋼板の特性上、完全に戻すことは不可能であるため、どうしても小さな歪みや変形した部分が残ってしまいます。そこで、パテというものを使って原型に近い状態に修正していきます。ヘコんだ鉄板を極限まで元の状態に戻す事は高度な技術が必要とされ、技術が高い工場は、可能な限り鈑金で修復し、パテを薄く塗ることで仕上がりをきれいにしていきます。鈑金作業でしっかりと鋼板のラインを出しておかないと、パテを厚く付けることになってしまいます。厚く塗ってしまうと、今後お客様がおクルマを乗り続ける間に、パテが痩せてきて見栄えに影響が出る可能性があります。鈑金工場の品質は、その技術力そのものといえるでしょう。

●フレーム(骨格)修正するまでの修復

事故などの損傷でダメージが大きいと車の骨格部分(フレーム)が曲がっていることがあります。それを元の寸法に直すのがフレーム修正です。フレーム修正機と呼ばれる設備を使って歪んだフレームを引っ張り、元の位置へ戻していきます。自動車メーカー発行のボディ寸法図を参照して、計測器などを用いてフレームをミリ単位の正確な位置へと修正していきます。他にも、サイドステップなどの車体に溶接されている部位は、その溶接部を専用ドリルなどを使い外したり、パネルがつながっている部分はエアーソーを使って切り離し、新品を溶接するなどしてつなげます。骨格修正もまた、高度な技術が必要となります。修復を依頼した工場がどのような設備をもっているか?また、対応可能な工場か?など十分確認して修復を依頼しましょう。

●鈑金を伴わないキズ

ちょっと塀にこすってできた擦り傷や、バックして軽くぶつけてしまったなど、大きくへこんではいないが、外装表面にキズが入ってしまうことがあります。小さなキズやヘコミでも、放置してしまうと、そこから錆が発生する可能性もありますので、早めに鈑金塗装をお勧めします。

●樹脂部品の修理

自動車のバンパーは、90年代以降、PP(ポリプロピレン)を使用したものがほとんどです。鋼板ではないため、ボディのようにたたいたりして成形することが難しいため、車種・年式によって対応はさまざまです。中古部品を使用すれば費用が安くすむと思われがちですが、近年は、中古部品が高騰しており、中古部品を探し、取り寄せ、再塗装しなければならない場合は、新品と交換したほうが良い場合もあります。修理方法については工場にご相談されることをお勧めします。

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その次に塗装です。

現在塗装に使われるカラーは大きく分けると以下の3タイプになります。

ソリッド

単色のことです。白、黒、青、赤、黄等の原色をイメージして頂ければ分かりやすいかなと思います。貨物車に使われる事が多いイメージです。最近は耐久性の向上や見た目の高級感を出すためかクリアー塗装を上から塗る手法もあります。

メタリック

ソリッドカラーに金属片メタリック(アルミの微粒子)を混ぜて塗ります。このアルミの微粒子にも種類が沢山あり種類を変えることで見た目のキラキラ感が変わります。この塗り方は必ず上からクリアー塗装を施します。

パール

ソリッドカラーに石の雲母(マイカ)を混ぜて塗る方法です。マイカにも種類や大きさはさまざまあり、光沢の出方が変わります。メタリックと同じような塗り方ですがパールと言うように真珠の表面のような光沢がありキレイに見えるので人気です。この塗り方も必ず上からクリアー塗装を施します。新車購入時によく「特別塗装色」になっていて他の色より数万円高いことがありますね。

大きく分けると以上のような3種類になっています。
この他にも色々な塗り方や塗料があり話せば面白いのですがここでは残念ながら割愛します。

塗装工程豆知識

●下地の塗装

上記の塗装作業に入る前にとても大切なのが下地の作業です。この作業が仕上がりを左右するといっても過言ではありません。下地にはサフェーサーと言う塗料を使います。この塗料はパテの液体版とも言えて特性として塗装面のならしや錆止めや上塗りする塗装の密着性に大きく関係します。下地の出来により最終的な完成度が大きく変わるので下地8割塗り2割と思うぐらい大切な作業です。

●調色

現在車の色にはとても沢山の種類があります。面白いもので同じメーカーの同じ色でも製造された工場により少し色味が違ったりします。車は屋根付きの車庫保管、青空駐車などの保管状態や熱い地域寒い地域などで劣化の状況は変わります。洗車するオーナー、しないオーナー。ワックスをかけるオーナー、かけないオーナー、コーテイングされた車、されていない車、さまざまな状態の違いにより差が出ます。特に赤色系は色の劣化がとても速い色ですね。そのそれぞれの状態の色に合わせて塗装マンは色を合わせていきます。車のボディカラーには実は沢山の色が入っていて、その色それぞれに設計図であるカラーコードが存在します。設計図通りに色を作っても車の劣化具合で同じ色になりません。その微妙な違いを塗装マンは見極めて微調整しながら色を調色していきます。
今は便利なことに調色用のカメラがあり、ボディを写真に撮るとある程度の色指定をしてくれたりします。しかしあくまでも参考値で70点くらいでしょうか。後の30点分はやはり人の目で調色しなければならず、そこは塗装マンの腕の見せ所です。とにかく調色は難しく誤解を恐れずに言えば決して同じ色になりません。限界まで近い色に調色出来るように頑張っているのです。

●マスキング作業

塗装を始める前に色を塗る部分以外に塗装が付かないように紙等を使ってカバーします。これが意外と大変な作業ですが手を抜いてしまうと塗らなくて良い所まで塗料が付着して後で大変なことになるので慎重に作業しなければいけません。

●塗装作業

下地も作り調色も終わりマスキングもバッチリ!さあ塗装作業です。塗装作業は色によって回数は変わりますが、何度かに分けて塗り重ねていくことが普通です。この作業は面白く担当した塗装マンによってやり方が全然違っていたりして見てると面白いです。塗り方で変わるメタリックやパールの光具合、塗り重ねると変わる光沢などいつみてもこの作業はまるで絵に色を入れているようです。その日の気温や湿度によっても仕上がりが変わるので同じ作業は2つと無いらしく塗装マンの作業ってすごいなって思います。

●最後の磨き作業

さあ、いよいよ最後の磨き作業です。塗装面に熱を入れて加熱乾燥させて表面がある程度乾燥して安定したら磨き作業に入ります。バフという布をポリッシャーという回転する道具につけてコンパウンド(磨き材)を使いながら表面を均一にして磨き上げて艶を出していきます。コンパウンド(磨き材)にも沢山の種類があり、太目→中目→細目→極細め だんだん目を細かくして仕上げていきます。塗装をしている時にどうしても小さな埃が付着していたりするので付着してしまった埃も、磨き作業中に探しながら除去するのも仕上がりのキレイさを左右するので大切な作業となります。

近年の鈑金塗装事情

近年のクルマは手に負えない?!

最近、高齢者の認知機能や身体能力低下が原因と考えられる交通事故が、ニュースで大きく報じられているのを耳にします。そこで、注目されているのが、「ASV(先進安全自動車)」と呼ばれる新型自動車です。障害物を自動検知してブレーキがかかったり、駐車場などでのアクセルとブレーキの踏み間違いを防ぐための機能が備わった自動車です。そういった先進安全装置付きのクルマの修理に対応できない鈑金工場が出てきているのが実情です。

●安全装置のセンサー類

安全装置が搭載されたクルマには、センサーやカメラが大量に付いています。事故などで損傷した場合、バンパー等の外装の修復だけでなく、センサー類やカメラ類の損傷確認、正確作動するようにセッティングや初期化も必要になりますただ外して付けるといった単純なものではなく、今までの鈑金塗装業の範囲を超えたノウハウ・設備が必要になってきています。

●エーミングと正確なフレーム修正

鈑金塗装で修復後、衝突安全性の性能基準を保つため、エーミングという調整作業が必要になってきています。この作業をしないと、正常に安全性能が機能しないこともあるため非常に重要な作業です。近年の車は先進安全装置が搭載されていることが多く、エーミング作業は車の修復とセットで欠かせない作業となっています。さらにセンサーが正常に機能するには、クルマの4輪アライメント(足回り)やホイルバランスを正確に調整しておかなければなりません。車体に対するホイールの角度、向き、位置を正確に修復し、車が「まっすぐ走る、きちんと曲がる、しっかり止まる」ためにアライメントの調整を行ったうえで、センサーやミリ波という短波を測定し、センサーの安全性能を確認しなければなりません。そうしなければ、せっかくの安全装置もきちんと機能しない可能性があります。このように鈑金塗装の修復に、非常に精密さが求められるようになり、こういった作業ができる鈑金工場は限られてきています。

●価格高騰

クルマのボディパネルの価格は年々上昇し、それに伴い中古需要が増も高騰しています。鈑金塗装とは、人の手で修復されるものですので、手間がかかれば工賃も上がってきます。鈑金塗装修理とは、品質と価格が比例するものといえます。ですが、クルマは命を乗せるものです。予算や希望を気軽に相談出来て、きちんとした品質を提供できる工場、なによりお客様に安心と納得を提供できる工場を選んでいただきたいです。

●個性的なボディカラー

鈑金塗装修理をする場合、メーカーからの基本データをベースに、色あせなどを考慮して現物合わせをして調色して塗装します。最近は個性的な色味が多く、調色も職人の技術だけでなく、色の配合を分析できる調色機などを導入し、各工場、苦労しながらも対応しています。ですが、近年、塗り方によって色の「鮮やかさ」と「深み」を出すものも増えています。色を出すなかでも高い技術が必要な方法にキャンディ塗装があります。マツダの46Vソウルレッドプレミアムメタリックが流行の火付け役となり各メーカーよりさまざまなキャンディカラー系の車種が発売されました。これらの塗装は従来の塗装と工程が大きく違うため非常に難易度の高い作業になります。工場によっては塗装出来ないところもありますので事前に対応可能かお問い合わせされることをお勧めします。